2018年12月31日

音楽の「中」へ、音楽の「外」へ

当ブログは2013年5月に始まりました。そもそもはDTMがはかどらない私なんくいが
見切り発車的に始めたブログなんですが、徐々に色んな企画を始めるようになって
きています。その方向性を要約すると、この記事のタイトルになります。

私はDTMerを志している(ちょっと開店休業状態ですが・・・頑張ります)こともあり、
音楽の作りかについては一応それなりの知識はあります。その知識をオープンにする
という目的で、音楽理論などの記事を書いてきました。しかし、これはブログで記事を
書くことで分かってきたことですが、音楽を作るという目的以外にも音楽理論に需要が
あるようなのです。つまり、音楽をより深く理解するために音楽理論が助けになる。

私はそもそも、音楽を作ることと聴くことを分けたくないと思っています。もっと気軽に
音楽を「作る」とまではいかなくとも、その手前の行為に親しむようになってほしいと
思っていますが、それは段階的に進めるべきだろうなあとは考えています。ただ、
音楽理論などで、好きな音楽をより深く「理解」しようとする試みは、その一歩に
なると思っています。

そんな私の思いを今回「音楽の「中」へ」という言葉で表現してみました。人が音楽を
気に入る時は、その音楽の中に入り込むことが出来た時なのではないかと最近思います。
この詳細はいずれ書きますが、音楽の「中」に入り込むことを助けるコンテンツを充実
させたいなあと思います。

それと同時に、音楽の「外」へも目を向けたいと考えています。自戒を込めて書きますが、
音楽好きは音楽を社会から独立させて考えるクセがあると思います。しかし、音楽を
初めとするエンタメコンテンツは、社会と独立して存在することは出来ません。

ですから、私達の好きなものを守るためにも、音楽の「外」にあるものにも関心を向けて
いきたいなあと考えています。と言いつつも、地に足をつけることも大事。音楽好きに
とって、音楽と社会との接点で問題になる主たるテーマは「著作権」と「表現の自由」の
2つのテーマだと考えます。これらについても、このブログの大きな柱として記事を
書いております。

そういう趣旨で展開しているブログです。末永くよろしくお願いいたします。
posted by なんくい at 00:00| Comment(0) | あいさつ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月13日

今年を代表する名曲キタ〜!!!!

騒ぐのが遅くなってすみません。でもこれ、
ちょっとスゴすぎません?

RYUTistが今とんでもないことになっている
ことは、音楽に詳しい方ならご存知かと
思います。今年になってTWEEDEESと交流が
出来たのか、沖井さん作曲清浦さん作詞で
「青空シングル」という素晴らしいシングルが
生まれました。



ですが、個人的にはカップリングのイッくんの
「無重力ファンタジア」の方にヤラれて。



ここに来てRYUTistが「人外の領域」に入りつつある
と感じてしまう、恐ろしささえ感じる魔曲。ここから
どうなってしまうのか、と思っていたら、次なる新曲が。

それが、この記事の中心になる「黄昏ダイアリー」
なのですが、今度は沖井さんと北川勝利さんの共作
という! 意外にも初みたいですこの二人。でも
北川さんが仕切ってる花澤香菜さんのアルバムに
沖井さんが作家として参加したりしていたので、
この組み合わせは意外ではなかったですが。

ところが、この二人とRYUTistの組み合わせが、
と、と、とんでもないマジックを引き起こした
というのが、この曲。



ちょっとどう形容していいか分からない
名曲ですよね。ただただ、心が震える。
もう公開されて1か月ほど経ちますけど
未だに新鮮な衝撃があります。

2018年のベスト級の曲、というより、
2018年という年を思い出すのにこの
曲を後々思い起こすのではないかと
思わせるくらいの大大大名曲でしょう。

最後に、この曲の決定版のインタビュー
記事(これもわざわざ私が貼らなくても
という記事ですけどね。吉田豪さんのです)
を貼って、この記事を締めくくります。


RYUTist × 沖井礼二&清浦夏実(TWEEDEES)× 北川勝利(ROUND TABLE)に吉田豪が直撃、新シングル「黄昏のダイアリー」座談会続きを読む
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2018年12月12日

洋邦楽理解説・温故知新#10 Gilbert O'Sullivan「Alone Again」

すみません2か月も更新をさぼってしまって。
この連載もズレてしまいましたね。本来は10月の
末に書かなきゃいけなかった記事ですから。

さぼっている間に色々書きたいことあるんですが、
徐々にリハビリ的に更新していきますので、
例によって気長にお待ちいただければと思います。

では、秋というより冬になってきてますけど、早速
ギルバート・オサリバンの名曲を解説していきますね。
今年、セルフ・タイトルのアルバムを発表し(しかも新作!)
まだまだ健在だとアピールしているギルバート・オサリバン。
実はずっとコンスタントにアルバムを出し続けている人では
あるんですけどね。この前のアルバムも3年前ですし。ただ、
そんなに音楽性が変わらない人なんで、新作が出ても有難みが
出ない、というベテラン・アーチストの問題を負っていますね。
そんなことじゃいけない、ちゃんと聴かないとですけど。

お詫びの意味もこめて、新作を貼っておきます。健在です。


ギルバート・オサリバンの魅力は、バート・バカラックにも通じる
「ポップな空気感作り」の上手さ。これからコードを主に解説して
いきますが、実に細かいところまで気が配られていて、そういう
音楽的教養の高さが、これだけの名曲を作り出せる素地になっている
んでしょうね。この「Alone Again」も定番的なコードのようでいて、
細かく聞くと芸が利いている、そんな曲です。

では、早速始めましょう。イントロは短く、コードをバッキングしている
ような趣です。先ず曲の雰囲気を出しておくという感じでしょうか。
例によって、コードを記しますね。
 |F#maj7・F#6|A#m・A#add11|G#min7・C#7add-9|F#|

いかがですか。大まかに言えば一→三→二→五→一というコードなんですが、
細かな芸が利いている。1小節目の後半で6度の音(D#)を入れてきて、
それが2小節目の後半でも現れる。ここで11度というかなりな音なんですが、
さりげなく入れているので、よく聞かないと分からないくらい。そして、
そのD#が3小節目の後半で半音下がってDになり、これが根音の短9度と
いう音程になる。この属七のマイナス・ナインスを入れるコードは、最近
渋谷系などで一般化してきた手ですね。非常にオシャレです。(それも
さりげないしね)

そのまま歌メロに入ります。歌と共に、アコギのアルペジオも入ってきてます。
 |F#maj7・F#6|A#m|C#m|A#dim・D#7|
 |G#min7|G#dim|F#・F#aug|D#m inF#・F7|
 |A#m|C#m・D#7add-9|G#min7|G#dim|
 |F#maj7・F#6|A#m・D#7add-9|G#min7・C#7add-9|F#|
ここまでで1コーラス。つまりこの曲、ワンサビものなんですよ。16小節での
このコーラス部分が何度も繰り返されます。途中1回転調するブリッジがあるだけ。

そしてこのコーラスの16小節が結構複雑な造りをしています。先ず、イントロと同じ
一→三から、なんと五のマイナーに行き、そこから三のディミニッシュに行く。
このC#mとA#dimとは、後の根音(A#)が加わるだけで構成音はほぼ同じ。なので
いずれも次の六の属七を導くための和音と見ていいでしょう。そしてこの六の属七も
このブログで副五と呼んでいる、俗にいうセカンダリー・ドミナントなので、次の
二の和音を導くための和音です。ということで、最初の4小節は主和音から展開して
次の二の和音に行くというパートですね。まあ、主和音から4小節展開して二に行く
のはモータウンのコードに似ていますよね。このコード進行もモータウン進行の
亜種と見ていいのです(その証拠に、ここのメロディにモータウン進行を乗せても
楽曲は成り立ちます)が、そこに五のマイナーとかディミニッシュを使うのが
わさびが利いている感じがします。

続いての2小節は、二の和音から展開していくのか・・・と思いきや、そこから
これまたディミニッシュに行って一に戻るという尻つぼみな展開。これは、五の
和音が省略されていると解釈するのが自然ですが、そこにディミニッシュを挟む
ことでD#→D→C#という半音ずつ下降する動きを演出することで、陰りを見せ
つつしぼんでいく感じを出したかったのでしょう。

というのも、ここは次の7〜8小節目で開けた感じを出していくための対比的な部分
なんですよ。その7〜8小節目は主和音から上昇形のクリシェになっているんです。
ここで、先ほどはD#→Dと下がってきたのを今度はC#→D→D#と上昇形に転ずる
のですが、普通のクリシェはここから属七に行くのですがここでは4つめの和音として
半音下の属七に行く! これ、他にあまり例がないパターンですよね。この楽曲の
一番のキモかも知れません。8小節目後半のF7の和音がこの楽曲の聴きどころなのは
間違いないでしょう。これは七の位置の属七で、当然調にはない和音ですが(これも
いわゆる副五ですね)次のA#mの和音を導くための和音になっています。

そして次の4小節は、目まぐるしい展開ながらここまでに出てきたコード進行の再現
という形になっています。三の和音から五のマイナーに行くのは2〜3小節目で出て
きましたし、六の位置の属七から二に行き、そこからディミニッシュを挟んで一に
戻る展開も出てきましたね。ここは、いつか見た景色をバックにほど良いおセンチ感を
彩るメロディラインで、最後の4小節につなぐパートになっているわけです。

そして、最後の4小節は、ダメを押しつつまとめに入るパート。イントロの4小節と
比べて、三の和音から六の位置の属七を挟んでいるところが違いますね。このD#7
の和音がここでのクライマックスで、これまでは間に五のマイナーなどを挟んでいた
のですが、ここではストレートに三から六に行っている。二の部分もてらいなく五に
行っていますし。ここでは三の和音からずっとD進行で一まで行くように出来ています。
つまり、まとめのところは大股なコード進行ではっきり目立たせている。(それでも
装飾音を入れてオシャレに彩ってはいますが)メロディも、特に前半2小節はこれまで
出てきたメロディのおいしいところを再現するように作っています。

というふうに非常によく練られたワンコーラスで、この先も基本的にはこれを繰り返す
わけです。2コーラス目はストリングスが入りますが、基本的には同じです。

そして2コーラス終わりに、短3度上に転調するブリッジが出てきます。ここの部分の
コードはこうなっています。
 |A|E|G#min7-5・C#7add-9|A・D#min7-5|C#maj7|G#min7・C#7|

なんと6小節なんですね。最初は転調の旨みや解放感を強調するように一→五と展開
するのですが、3小節目から陰りのあるコードが登場してきます。最近Jポップでも
多用されるマイナーセブン・マイナスファイブですね。いわるゆるディミニッシュ系の
陰りのあるコードで、次にD進行で属七を導くコードです。ところが、最初に登場する
時は、五の和音から七の位置のマイナーセブン・マイナスファイブで、次に三の属七に
行くところまでは典型的ですが、普通なら次に六の和音に行くところが一に行く。ただ
次に四#の位置のマイナーセブン・マイナスファイブに行くことを考えれば、本来的にも
ここは六(この場合はF#m)だったのだなあと思います。ただ、ここでAにすることで
次のD#min7-5が真裏の位置への進行になる。非常にオシャレな進行ですね。それと、
ここでマイナーでなく、もう一度主和音に行くのは楽曲の内容的にも必要だったのだろう
と考えます。ここで1回明るく戻しておくわけですね。

そして、二回目のマイナーセブン・マイナスファイブからD進行するわけでなく、この流れで
最も自然な半音下のDに行くわけでもなく、その半音下のC#に行くわけです。と考えると
ここのコードはB7の代用コードと解釈するのがコード進行的には最適かなと思います。
ここのC#がよく聞くとメジャーセブンになっていますし。ただ、ここでC#に行くという
ことは、どう考えてもF#majorに戻るということを暗示させますよね。F#majorの五の
和音と考えたくなる。ただここでメジャーセブンになることで、一旦C#majorに転調して
からF#majorに戻るように解釈できるようにしている。それと、ここのメジャーセブンの
不気味な明るさが、非常に効果的ですよね。

結果的に、ここでの6小節は、明るく展開する2小節→陰りをもってねじれていく2小節
→付け足し的に元に戻るための2小節、というつくりになっているわけです。そして、
コーラスの16小節を使って間奏になるのですが、最後の2小節だけ歌が入るのがニクい
ですよね。これは、最後の一行返しの予告でもあります。

そして最後にもう1コーラス、ストリングスやトロンボーン(効果的なフレーズを奏でます)
に彩られて展開しますが、最後だけ、一行返しになっています。ここは、16小節目がF#に
行かずにA#m→D#7と展開し、再び最後の2小節を繰り返して終わります。

いかがでしょうか。この曲は、明るくポップな曲調と裏腹に暗い歌詞で・・・なんて語られ方を
するようですが、絶妙に陰りのある曲になっていることが分析すると分かるかと思います。
哀しみと、それを吹き飛ばすどこかユーモアな視点。その存在がこの曲を長く愛される名曲に
しているのかも知れません。

次回は邦楽。何とか12月中にアップしようと思います。曲は安全地帯の「ワインレッドの心」です。
これも定番曲ですね。知っているとは思いますが、事前に聴いておいて下さい。
posted by なんくい at 22:05| Comment(0) | 音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする