2015年10月31日

ハーモノグラフから「見える」こと#11 減5度の世界

今日は先ずNegiccoの情報から。
Negicco代表曲がNEGiBANDバージョンで発売、キネマ倶楽部ワンマンも

「圧倒的なスタイル」はどこかのタイミングで再リリースがあるだろうなあ、しかも
最近評判のNEGiBANDバージョンで、と予想していましたが、1日遅れのクリスマス
プレゼントとして、限定リリースという形で実現しました。限定リリースということは
早めに予約しないとなくなるのかな? その辺の詳細は分かりませんが(枚数によっては
今のNegiccoなら争奪戦になる可能性も!)、分かり次第追って告知したいと思います。
このブログに来る方ならマストでしょうし。

ただウレシいニュースとしてはカップリングが久々の長谷さん曲だということ。長谷さんの
最近の貢献度(特に出囃子を長谷さんのに代えてからずっと好調ですしねー!)を考えると
いよいよ、という気がしますね。いいに決まっているでしょうから、あれこれ詮索せずに
ただ待ちます。その前にやらなきゃならないことがたくさんあるので、自分へのご褒美盤に
なることでしょう。

ハーモノグラフの連載ですが、1オクターブ内の各音程についてはほぼ調べつくしました。
今回の減5度が最後ですね。減5度は悪魔の音程と言われた時期もあり、それをドビュッシーが
確信犯的に用いて新しい響きを作り出したという音楽史的な意味も持つ音程です。当ブログでも
「真裏」なんて言葉をよく用いますが、それがこの減5度の音程を意味しています。

ところが、何回か前から音程がおかしなことになっていますよね。それは純正律ではレ〜ファの
音程がずれているからなんですよ。そこで、この減5度も2種類の音程が存在することになる
わけです。標準の音程としてはファ〜シに当たる音程、これは32:45という音程になります。
一方で短3度を重ねた25:36という音程も存在しますね。この両方を調べることとします。
ファ〜シの音程はド〜シのセント値1088.26セントで、そこから完全4度の498.04セントを
引いた593.22セントで調べてみます。一方で短3度を重ねたもの(これはド〜ファ#と表記)
は短3度の315.64セントを2倍して631.28セントで調べることとします。それと、今回からは
平均律の600セントも同時に調べます。都合3種類の音程を比較していく方式を採ります。

では早速模様を作っていきましょう。本日もコチラのサイトにお世話になります。
では最初は、直交で位相がずれていないものを選びます。振幅比を同じにします。

純正律減5度ファ〜シ・直交位相同じ・振幅比1

純正律減5度ド〜ファ#・直交位相同じ・振幅比1

平均律減5度・直交位相同じ・振幅比1

一番平均律がメリハリのある印象があります。まろやかな曲線のカーブと鋭角的なターンが
交互に来るわけですね。その次にファ〜シの音程が来て、ド〜ファ#は幾分マイルドに見えます。
ただしこれらは3つの比較での話で、いずれも南北の面がやや反っている四角推という印象の
模様が出来ます。

では位相をずらしてみましょう。

純正律減5度ファ〜シ・直交位相ずれ・振幅比1

純正律減5度ド〜ファ#・直交位相ずれ・振幅比1

平均律減5度・直交位相ずれ・振幅比1

位相がずれると、模様の生成過程はかなり変わりますが(特にド〜ファ#の出来方がカワイイ)
結局出来る模様はあまり変わらない印象です。

回転同方向にしてみましょう。

純正律減5度ファ〜シ・回転同方向・振幅比1

純正律減5度ド〜ファ#・回転同方向・振幅比1

平均律減5度・回転同方向・振幅比1

小さな円が2つ並ぶのがずれていくファ〜シ、4つ並ぶのがずれていくド〜ファ、
平均律は2.5こずつ並ぶ(がずれていく)という印象ですね。それゆえ、渦巻きも
それぞれ2また、4また、5またとだんだん複雑になっていきます。複雑な方が
豊かな模様にも見えますが、その分カオスで分かりにくくもあります。

これは振幅比を1.5に上げてみます。

純正律減5度ファ〜シ・回転同方向・振幅比1.5

純正律減5度ド〜ファ#・回転同方向・振幅比1.5

平均律減5度・回転同方向・振幅比1.5

そうそう。このようにいい感じのへこみが出来るのでしたね。これもずれていくのが
それぞれに面白い模様になっていきます。ただ平均律かなりカオスな感じですね。

では回転逆方向にいきます。

純正律減5度ファ〜シ・回転逆方向・振幅比1

純正律減5度ド〜ファ#・回転逆方向・振幅比1

平均律減5度・回転逆方向・振幅比1

これは圧倒的にファ〜シが最も綺麗ですね。12枚の風車といった風。次に平均律ですが、
これも12の風車風ですが、少しゆるやかな印象。ド〜ファ#はかなりカオスです。一応
17枚の風車なんでしょうが、羽の大きさもかなり不揃いでランダムです。

純正律減5度ファ〜シ・回転逆方向・振幅比1.5

純正律減5度ド〜ファ#・回転逆方向・振幅比1.5

平均律減5度・回転逆方向・振幅比1.5

とがってくると、模様がどのように出来てくるかが生成過程を観なくても分かる
感じになってきますね。これもファ〜シが美しいのですが、他の2つもそれなりに
面白く感じます。

純正律減5度ファ〜シ・回転逆方向・振幅比0.5

純正律減5度ド〜ファ#・回転逆方向・振幅比0.5

平均律減5度・回転逆方向・振幅比0.5

ファ〜シの模様の美しさには惚れ惚れしてしまいますが、他の2つ、特にド〜ファ#の
多用な解釈を許容する複雑な模様の魅力も捨てがたいですね。


今回は悪魔の音程とも呼ばれる減5度の、複雑でも魅力的な世界を可視化できた気が
します。皆さんもお気に召したでしょうか。

次回からは、オクターブを越えた音程で探索を続けます。
posted by なんくい at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月30日

「バニラビーンズIV」楽理解説#7 愛のせい

今日はバニラビーンズの楽理解説。この記事、最初は恒例のバニビ通信ですww
あの勝負曲「女はそれを我慢しない」が公開されました。(フルコーラスじゃないけど)


最初に聴いた時は「松井さん肩に力入りすぎだよー」と微妙でしたが、まあこの状況で
肩に力入るなという方が無理筋でしょう。インパクトありまくりのバックトラックに比して
楽曲は地味、というか歌メロは若干弱いかなあと思いますが、その分スルメ楽曲だったり
するんですよ。特にBメロ中盤の・・・おっと、ここから先はイザという時のためにとって
おかないと。

スルメ楽曲が来た以上、運営やファンが取るべき戦略は明らかでしょう。ターゲットを絞って
何度も聴いてもらう。オンエアー攻勢をどれだけかけられるか、ですよ。皆さんいいですか?
(何だかんだ言ってお前乗ってるやん、とお思いかも知れませんが、フッフッフ、計画がある
 んですよ。皆んな盛り上げるアイデアが。楽しみにしててね!)

もう一つ触れておかないといけないのが、バニビのお二人の変わらなさ! 肩に力の入りまくった
バックトラックとは裏腹に、悲壮感の全くないいつものバニビ節! 特にMVの笑顔!!!
この裏に大変な状況があって・・・と想像すると、かなり萌えるかもですよ。

では本題に戻って「バニラビーンズIV」の楽理解説にいきましょう。今回は7曲目の「愛のせい」
これが、難しいんですよ!非常に高度なことをさりげなくやっている。アルバムの脇役的な位置に
こういう曲があることも、このアルバムの強みだったりするなあ、と改めて思いましたね。

先ずイントロから。ギターが左右でそれぞれ非常に細かなパッセージを奏でていますが、そこを
解説しちゃうと長大になっちゃうので、とりあえずコードのみを押さえておきましょう。
 |G#m|F#|Fmin7-5|Emaj7|G#m|F#|Fmin7-5|D#|
これはマイナーで一→7→+六→六と進む下降形のコードなのですが、ここでのポイントは3小節目
あるいは7小節目の「+六」の和音ですね。この和音が楽曲のカラーを決めるのに大きく貢献
しているように感じます。

リズムはスネアが4つ打ちを叩きながらも16分音符の細かいリズムを絡めた、腰にクるねっとりと
したグルーブが印象的ですね。そこに「Love is the reason/Love is lonely」という
キャッチーなコーラスが入ります。

そしてお次はAメロ。ここはおとなしめの箇所ですね。ただ16分音符の細かいリズムは健在で、
メロディの譜割りも細かいです。コードはG#m→B→C#→D#の繰り返し。短調の一→三→+四→五
というコード進行です。わりとオーソドックスです。ただ、8小節目のD#のところで煌びやかな
ピアノのアルペジオが、まるで空から降ってくるように鳴り響き、摩訶不思議なBメロへ流れて
いきます。

そのBメロですが、コードから解説しましょうか。(実はコードそのものより大事なポイントが)
 |C#sus4 add7|C#sus4 add7,+9|G#m|F#|Fmin7-5|Emaj7|
 |D#|D#7add-10|
ここが非常に不思議な構成をしているんですよ。先ず最初の2小節がちょっと締めくくりみたいな
盛り上げ方をして、そこから3小節目へつなぐ。そして3小節目から4小節はイントロのコード
を奏でて、そこからドミナントであるD#の和音で2小節。結局は普通の8小節なんですが、
構成的には2−4−2という不思議な形をしているんですね。

しかもそこに軽いリズムトリックまで仕掛けていやがる。例の3小節目が1拍ウラにアクセントが
かかっていて(このアクセント、ギターだけで4〜5小節目にも再現されている)一瞬何が
始まったのか分からないような感じになる。そこからコードが動いて何が始まったのかは掴める
わけですが、それでも変則的にBメロが始まった印象があるので、少し合点がいかない感じは
残る。それが、最後の2小節のまとめで、結局8小節の一まとまりが意識されて収まりがよく
なる。というダマしにダマしを重ねる構成になっていて、かなりユニークです。ちゃんと構成を
追おうとすると大変ですが、ダマされるのも快感ですから、ここは普通に聴いていて面白く
感じるのではないでしょうか。

そして頭の2小節は、響き的にもかなりユニークに聞こえることでしょう。ここは、C#の根音の
上にF#〜B〜E〜G#みたいな音の重ね方(パートによってコードの重ね方は異なるけども、
使っている音はこれ)4度で重ねているような響きで曖昧な感じが出せるんですね。ちょっと
和な雰囲気を感じる方もいるかも知れません。後は最後のテンションコードですね。これは普通の
D#7(D#〜G(F×)〜A#〜C#)に短10度であるF#が加わっているという和音です。F#は
それのみではD#にとってはマイナーを意味する短3度なのですが、属7に重ねて使用すると、
こういうカッコイイテンションコードになるんですよ。

そしてサビですが、ここでスネアが4つ打ちに戻り、コードもイントロのコードを援用しています。
そこにコーラスの代わりにちょっと泣き成分の強いメロディが乗っかっている。(F#→C#への
跳躍が面白い響きになりつつもエモーショナル)そしてその8小節の後に唐突に4小節だけ
スイングっぽくなる。ベースは8分音符でドライブし、リズムもちょっとハネているんですよ。
そして再びイントロのコーラスに戻り、Aメロへ。2回目のAメロにはブレイクが入りますね。
2小節目と6小節目に。ブレイクというより、バックがギターのチョーキングのみになる箇所
ですが。最初のチョーキングはC#とD#、2回目はF#とG#と、それぞれ2度に重ねているのも
ポイントです。(リズム的にも1拍めの裏の裏から入るというかなり変則的なんですが)

そして2回目サビは8小節の後にスイングにならずに16分音符で刻むハードロックなリフ(ギター
とベースがユニゾン)と「ヘイ」という声との掛け合いに。そこからブリッジへ。

このブリッジがまたスイング調に変わっていまして。それも4小節はG#mのコードでベースが
動き回っている(一部D#とも取れる箇所はありますが)のですが、そこから「NON NO」の
ところでEのコードになりそこからF#→D#inG→D#とコードが動くのですが、ここの箇所、
どうも跳ねていないみたいなんですね。もっとも8分音符単位のフレーズなので(前までは
16分音符単位で跳ねていた)正確には分かりかねますが、演奏しているニュアンスでは、
ここは跳ねていない。そしてそこから3連八分音符のアルペジオが来て、2拍の休止。
(つまりここだけ4分の2拍子になっているんですね)となって3たびサビへ。

実況するだけだと分かりにくいですけども、要はここの箇所でもめまぐるしく展開が変わって
あれあれ〜と思っている間にサビへ突入するようになっているんですよ。音へ身を委ねて
いると、途中どこへ連れて行かれるんだろうというスリルがある。そこへそこかしこに
カッコイイフレーズが挟み込まれていて、相当気持ちのいい箇所だと思います。

そしてサビは2回し。それもイントロのコードの8小節を先ず2回しして、その後でスイング
調の「愛のせい〜」のところも2回し。そして最後はイントロのコーラスが現れて終わる
という形式となっています。

アルバムの中ではロック色の強い曲、という位置づけになるんですかね。ということで
そんなにオシャレなコードワークがあるわけではない曲なんですが、それでもアレンジワーク
や構成の妙で、変化に富んだ曲となっています。侮れない曲ですね。

次回はシングル曲の「プリーズ・ミー・ダーリン」なんですが、いつするかは未定。何しろ
勝負の11月がやってきますからねえ。少なくとも、バニビ関連で私から重大告知が先に来ます。
posted by なんくい at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月29日

Orland新作に見るシーンの現在

今日は先ず、久々のEspeciaネタから。現在全国ツアー中ですが、こんなレポートが。
Especiaと踊りました|ブルブルシェンコのブルブリズム

私はこの方のブログが好きで、ちょくちょく取り上げさせてもらっていますが、今回の
Especia北海道公演のことをツイートされているのを見て「絶対記事に書くはず」と
思って楽しみにしておりました。

しかしワンブロックずっとフロアに降りてやるとか、アンコールで観客全員(!!!!!)が
ステージに上がって・・・なんて、今のご時世では考えられないようなことが起こった
んですね。これはまさしく「伝説」でしょう! こういう芸当が出来るのもEspeciaと
ペシストさんならでは、でしょうけどね。

さて今日の本題はOrland。3rd EP「LUV CONNECTION E.P.」が各所で話題になって
おりますね。「名古屋のDaft Punk」と称されるのは、トークボックスを駆使したボーカル
ゆえなんでしょうが、今回はなんと、5曲中4曲がゲストボーカルを招いているんです。
そして1曲目がこれ。


この曲を今年のベストトラック候補に挙げる人も多いのではないでしょうか。Negiccoも
最近は外仕事が増えてきているので、たまったら特集しますね。

それはともかく、Orlandの今作は「LUV CONNECTION」なんですよね。つまり「愛ある接続」。
これこそ今回のEPのキモであり、それが現在のシーンで起こっていることなんですよね。

もっともHIP HOPの世界ではこれまでも結構あったことですけども、ポップスの世界でも
ただ自分の表現を追求していくのでなく、好きな人同士の交流が生み出す新たなバズを
大事にしていく。それがもっと普通になっていくといいなあと思いますね。

Orlandも今回のコラボのハマりっぷりを聴いていると「彼らは界面でこそ力を発揮するタイプ
なのかも」とさえ思ってしまいます。これからも、シーンの中の新たなハブとして存在感を
増していくのではないでしょうか。

それに触発されたのか、今回唯一の自分達のみの曲がこうなっているんです。


比較のために。彼らの代表曲を。


なんとメインボーカルは生歌!(少し加工をほどこしてはいますが) 代名詞のトーク
ボックスはコーラスのみにして、ほぼすっぴんで勝負!と来ました。でもボーカルも
なかなかいい声をされていますよね。ちょっと西寺豪太さんっぽいかな。これも新たな
武器として、どんどん活用して頂きたいですね。

Orlandの3rd EP「LUV CONNECTION E.P.」是非聴いてみてください。
LUV CONNECTION E.P. - Orland
LUV CONNECTION E.P. - Orland
ラベル:Orland
posted by なんくい at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽とは | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする