2013年09月13日

差別とは何か?

表現の自由と差別の連載、第3回です。
前2回とは逆に、差別について書きます。
最初は「差別とは何か」について私なりの見解を書きます。

というのも「差別と区別って境界はあいまいだよね」とか差別を区別と混同して
何やら言っている人が結構目に付くからです。ちげーよ。全然違うっつうに!

というわけで、差別についてきちんと定義しようと言うわけです。
その話を進めるために、先ずは一見関係のない話からします。

なんという小説だったかは忘れましたが、いじめている子が自らを正当化する
ロジックを展開していました。曰く、(記憶があいまいで申し訳ない)
「私たちは○○さんが嫌いなだけなんです。嫌いだから相手にしていないだけで。
 先生は、私たちが間違っていると主張することは出来ないと思います。だって
 私たちの好き嫌いは感情であって、それを制御することは誰にも出来ないからです」

皆さんがもし先生ならどのように反論しますか? それともそのロジックを
正しいと思いますか? その子達にどう答えるかは難しい問題ですが、その
ロジックの間違っている点なら簡単に指摘することは出来ます。それは、
「もし自然に○○さんを嫌っているなら、そうかも知れない。でも実際は
 皆で示し合わせて○○さんを嫌うことにしている。あなた達は自分達で
 好き嫌いを制御しているじゃないか」
つまり、それは「組織的に作られた好き嫌い」だから問題なわけです。

何故こんな話を持ち出したかというと、それこそが差別と区別とを分ける
明確なポイントだからです。私の定義では差別とは
「社会的に固定化された悪感情」
のことを指します。そしてその悪感情は、人々の心の中にだけでなく、社会的な
制度(法律など)に具現化されている場合もあるわけです。
ついこの間「婚外子」の相続の問題が裁判で争われましたが、これなどは
「差別と法律」という領域の問題だと捉えられます。
(ただこの問題は非常に難しいものを含むので、稿を改めます)

先ほどの私の定義で、キーワードは3つあります。「固定化」「社会的であること」
そして「悪感情」です。一番分かりやすい「固定化」から話しましょう。
先ほどの好き嫌いの話に戻しますと、元来好き嫌いなんてものはその時々で移り変わる
ものです。ずっと嫌いだったものが好きになったり、その逆もあるでしょう。
そもそもあるものを熱烈に嫌うということは、それに対する好意の裏返しとも言える
かも知れませんし。

それを、あらかじめ「嫌いになろう」と決め付けていることが固定化であり、
差別にはそういう側面があるということなんです。さらに個人的な好き嫌い
ではなく、みんなで取り決める。そこで「社会的である」という話になります。

好き嫌いと言うものはかなりの程度「社会の産物」だったりするんです。
私たちは、日本人ならではの美意識を知らず知らず「学習」していたりします。
ただ、現代は社会が複雑化しているので、人それぞれ好みの差が大きかったり
するんですけども。(さらに社会というものを動態的に捉えるとより複雑です)

その中で、ある社会においてその成員の多くが一定の対象に悪感情を持っている
という場合、それは社会の痕跡である可能性が高いのは当然でしょう。
また、その対象も個人というよりは「社会(の成員)」になります。(差別の場合)
その「個人」を見ずに「社会の成員」としてレッテルを貼るわけです。

さらにそれが「悪感情」であることも重要なポイントです。理性的な「区別」とは
異なり、差別は感情の産物なのです。だからこそ、解決が難しいんですね。
なかなか「理性的」に解決が出来ないものですから。

このように考えるとき、私の「反差別」へのアプローチは明確になります。
そのキーワードは「脱・固定化」です。
人が特定の対象に対して悪意を持つこと自体は、とても自然な行為です。
ただ、それが「固定化」されないようにするには、どうしていくべきか
というアプローチで考えていきます。

反差別というとき、それは社会運動であったりあるいは教育からのアプローチも
あるでしょう。ただ、当連載はあくまでも「表現の問題」として差別を
考えていくつもりです。今回は、全体の見取り図として書いています。

今回の私の定義。少し広すぎるのではないか、との批判を受けそうです。
実際は「差別」とは言えないものを含むのではないかと。
(私自身、書いていてそういう気が少しします)そこで、話を進めるために
後2回、その周辺の概念を考察していこうと思います。
一つは「偏見・ステレオタイプ」について。
もう一つは「人権思想」について、です。
posted by なんくい at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 表現の自由と差別 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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