2017年07月29日

JASRACが「カスラック」呼ばわりから脱するために

なかなか更新できずすみません。書ける時にまとめて更新しますので、
よろしくお願いします。

今日は、是非ともこれについて書きたい。ということで、先ずはこの記事から。

JASRAC幹部“カスラック”呼ばわりは「非常に悔しい」

組織としてなかなか「顔」が見えないJASRACで、皆さん結構気軽に批判しますけども、
当然そこに働く人がいて、その人達にも感情がある、という当たり前のことを思い
起こさせてくれる記事ですね。そりゃあ、批判されて悔しくない人はいないですもんね。
そこに思いを馳せないと、いじめと変わらないよ、と思っちゃいます。

しかし、私自身としては「だったらオレの記事を読めよ」と言いたいですね。
批判だけでなく、ちゃんと提言もしていますし。自分で言うのもなんですけど、
結構的を得たことを書いてると思うんですよ。

まあ無名の人間の言うことなんてなかなか届かないでしょうけども、この記事を
きっかけに見てもらえたら・・・とムシの良いことを考えて、もう少し具体的に
提言を書こうと思います。

確かにJASRACは今日の音楽を巡る状況の中で、一方的に悪者になっている面があります。
彼らは彼らなりの仕事を忠実に果たしているだけで、実際は音楽出版社などの意向や
その意図ばかり汲まれてどんどん改正している著作権法を問題にしないといけないのに。
さらに言うなら、そういう改正が行われる背景には、音楽をめぐる状況の変化と、それ
によって収益構造を変えざるを得ない、という業界側の苦しい事情もあるわけで、
それを考えずにフリー・ライドばかりしているリスナー側にも、責任の一端(なんて
小さいものではないかな)はあるわけです。

ただ、状況の変化に応じて、法律を変えてお金を徴収する範囲を増やしていくだけでは、
音楽の権利を持っている側の主張ばかりが通っているように映りますし(実際そうだと
私も思いますしね)そのことへの(意識せずとも)怒りが、たまたま分かりやすい矛先
としてJASRACに向かっているのだと考えることが出来ましょう。(JASRACの人達にも
このくらい冷静な状況分析が出来ていてほしいな)

つまり、諸悪の根源は、ルール作りをする際にちゃんとした話し合いが出来ていないこと、
もっと言うと利害の調整という面倒くさい作業が、実際はなされてないことだと考えます。

そう言うと「いや、ちゃんと話し合いはしている」とJASRAC側は仰ることでしょう。確かに、
そうした議事録のようなものも、ネットを調べれば出てきます。しかし、その議事録を読む
たびに、私は疎外感に苛まれてしまいます。著作権に対して問題意識を持っている私でさえ
そう思うんですから、普通のリスナーが読んだらさらなる燃料の投下にしかならないですよ。

例えば「街から音楽が消えた」などと言われる件。お店で音楽を流す時、その売り場面積に
応じてJASRACにお金を払わないといけない。それが原因で、お店で音楽を流すということが
(有線やラジオを除いて)非常に少なくなった。このことにも批判が多く寄せられます。

しかしこれだって、実際の著作権法でそのように定められているわけですから、そこで
騒いでもしょうがない。問題にすべきは、その立法プロセスなんですよ。その話し合いの
段階で、お店の代表者と意見を調節しましたか? お店の人だけでなく、その利用者にも
話を聞きましたか? そういうところで、シビアな話し合い(だってお店の人は反対するに
決まってますもんね)がなされたなんて話、私は聞いたことはありません。(もしかすると
話し合いがなされたのかも知れません。だったら謝ります。ただ「形だけ」みたいなもの
はダメですよ。アリバイみたいな話し合いしかなされていないのでは、と訝っているわけ
ですから)

つまり、ルールを変えるという時、きちんとした話し合いを、もっとオープンな形で
行っていくべきなんですよ。音楽の将来という意味では、みんな危機感を持っているわけ
ですから。

例えば今回話題になっている「音楽教室からの徴収」にしたって、話題になってみんなが
意見を言うという状況は、実は歓迎すべきことなんですよ。それが、争いみたいな形に
なってしまっているのが不幸なわけで、そこは持っていき方が上手くなかったなあと
反省すべきでしょうね。ただ、ここから利害調整的な話し合いに持っていくのは、不可能で
ないと私は思っていますが。

最近私は、こういう本を読んでいまして。
法のデザイン−創造性とイノベーションは法によって加速する -
法のデザイン−創造性とイノベーションは法によって加速する -

まだ読んでいる途中ですが、この本は音楽に興味のある人なら必読だと断言できます。
JASRACや音楽出版社の方も、是非読んで仕事の参考にして頂きたいのですが、誰にとっても
トクな形になり得る法のあり方って可能だと思うんですよ。法を作っていく立場の人が、
この本に書かれているような、法やアーキテクチャ(要は機械環境のようなことです)を
改変することで権利者の権利も保護されつつさらなるイノベーションも生む(←この視点が
今の権利者側に希薄すぎる。ここが大きな問題なのです!)という考えを共有してくれれば
少なくとも今の状況は劇的に変わるだろうと考えますね。

結論にいきます。私は、JASRACが今の嫌われ者のような位置から脱するには二つの方向性が
あると考えています。一つは、もっと公平な分配に力を入れ、その副産物としての情報産業に
活路を見出すこと。これは昔、ランキングの連載をしていてそういう記事を書きました。

実はこれについては、少し状況が動いておりまして。江川ほーじんさんが「演奏曲目入力
システム」というものを始めた時、その情報機能に着目して私は記事を書きました。ところが、
この試みを最近JASRACがやっているんですよ。
作品データベース検索サービス

これ、いい試みだと思いますね。江川ほーじんさんがやろうとしていることをJASRACが
パクった、なんて無粋なことは言いません。だってこれは大きな組織がやった方がいいに
決まってるもんね。ただこれも、まだ私が提言した方向では全く機能していないので、
是非考慮して頂きたいものですが。

音楽の権利がどのように分配されているかは、プライバシーに関わる部分(それにお金の
話ですからね)ですから、完全な公開は難しいことは承知しています。ですからここは
さじ加減の問題でしょうが、ここに需要があることは、このブログでもさんざん言っています。
今、アイドルにせよアーチストにせよ、目標を見出しにくい状況ですからね。適切な基準
作り、という点でもJASRACは貢献できるよ思いますよ。(そこで信頼を得られれば、リスナー
も彼らの活動に理解を示すという副産物もあります)

もう一つの方向性は、水野祐さんの本じゃないですけども、様々な意見のたまり場として
活用していく、という方向性です。現状JASRACは音楽の権利を持っている人達の団体です。
それを、利用者とかの意見を容れていくような体制にしていく。そのことに私は、音楽の
未来を考えた上で、メリットがあると考えます。

いや、それは不可能だよという意見もあるでしょう。そもそも今はJASRACの独占がダメだ
という話もありますから。であれば、別組織でも構わないです。権利を持っている人だけ
でなく、音楽を利用する側(本当はそういう二分法にしたくない、という未来への志向も
個人的にはありますが)も含めて、みんなで話し合って音楽の未来への方向性を決めていく、
そんな組織が今こそ必要だと思います。それくらいみんなで考え行動していかないと、
もうヤバいだろう。そういう状況だと思いますよ。

この記事は、JASRACの社員の方とか理事、あるいはその関係者の方に是非とも読んでほしくて
頑張って書いたつもりです。もし検索等で引っかかったなら、私の他の記事も(たくさんある
ので少しずつですけども)読んで頂きたいと思います。
posted by なんくい at 23:36| Comment(3) | TrackBack(0) | 著作権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
JASRACの「作品データベース検索サービス」って相当前からありませんか?
具体的な開始時期は存じませんが、2002年にはあったようです。(http://q.hatena.ne.jp/1014214039
Posted by at 2017年07月30日 16:01
ハンドルネームでも構わないので、お名前を頂戴できればですが・・・。

ご指摘有難うございます。

これは大変失礼いたしました。ちょっと事実関係を調べ直して、修正をかけます。
Posted by なんくい at 2017年07月30日 23:36
1コメの者です。
JASRACのほうは検索に特化しているのに対し、
江川さんのは入力→再利用→JASRAC申請を目的としているそうなので
狙っているところもだいぶ違うのかなーと思ってます。
Posted by まさお at 2017年07月31日 07:41
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック