2017年08月01日

虹コン「じゃんぷ!」があまりに不遇なので良さをプレゼンする

今日は虹コンについて書きます。(てゆーか、彼女達を取り上げるのは初かな)

4月にメジャー・デビューして(なんだね。もっと大御所だと思ってた)彼女達。
この夏はなんと3曲も夏曲をリリース(の割になんで発売が9月なんだ、と思うが)
という攻めた展開を見せてくれています。







3曲3様! 最近のアイドル楽曲の傾向を押さえた手数の多い(ちょっと電波ソングっぽい)
「キミは無邪気な夏の女王」に、インディ・ロック然とした「じゃんぷ!}、そして一転、
トリップ・ホップ的でアダルトな魅力にあふれた「夏の夜は短すぎるけど…」と、いずれも
定番的な夏ソングのパターンを外しつつ、新たなスタンダードを打ち立てようという志の
高さを感じさせます。推せるね。

ところが。この3曲の中で2曲目の「じゃんぷ!」がどうにも評価されていない気がして。
再生数も一番少ないですし、評判も他の2曲に差をつけられているようです。ですが、個人的に
イチオシは「じゃんぷ!」なんですよ。というより、今年も幾多の夏ソングが出されています
けども、その中でもリリスクの「夏休みのBABY」と双璧なくらいスキ。いやこの曲もっと
大騒ぎすべきだろう!と怒りに似た感情さえ抱きます。

確かにね。一番分かりにくい曲ではあると思うんですよ。「キミは無邪気な〜」は分かりやすく
ポップな面もあり、手数も多いからインパクトあるし。一方で「夏の夜は〜」はモー娘の影響
下にある楽曲で、そういう意味では理解される素地がある。それに対して「じゃんぷ!」は
支持されやすい層がちょっと違うという面もあるのでしょう。

ですが。虹コンファンの皆さん。これ試されていますよ。こういう先鋭的な楽曲をファンが
受け入れるかどうか、というのは虹コンがこの先世界を広げていけるかの試金石だと思う
わけです。かつて「愛のタワー・オブ・ラヴ」を早い段階で理解したNegiccoファンのように
こういう「攻めた」楽曲をファンが理解してくれたら、もっと冒険できるし、その結果
どんどん世界が広がってくる。(そして、新規のファンが入る余地が増える)

ということで、おせっかいですが私がこの曲の魅力を楽理的に少しだけ解説しようかなと。
読者の方にあらかじめ申し上げると、そこまでちゃんとした楽理解説じゃないです。
このブログの初期の方でやっていた、かいつまんで解説する程度のものです。
(ファンの方が望むのであれば、正式なものを書くつもりはありますが、その場合には
 少しお時間を頂きたいです)

先ずこの曲のキモはメロディなんですね。それも、定型から少しずれているのが少し
難解だけども、非常に新鮮でカタルシスがある。先ず、サビの「いっせーのでJump!」
からしてヘンでしょ。上昇形のメロディで盛り上がるんだけども、最高音がE♭。
この曲のキーである音ですよ。ところがここのコードがB♭というドミナントの位置
にあるコード。となると、ゴールに向かっているメロディだけども、そのバックの
コードがその対極にあるコードだから(ちなみにバックのコードに対して11度。この
11度がこの曲のキーワードになります)こういう風に奇妙に聞こえる。その響きの
妙を味わうのが、この曲のポイントだったりします。

ちなみにこの曲、このようなメロディとコードのずれがちょくちょく起こっていまして。
Bメロの頭のB♭もバックのコードFmに対して11度という当たり方をしている。
(ここのメロディの音形も、B♭→A♭→E♭とサス4的に降りているのも印象的)
サビの頭もFmに対してB♭で始まっていますね。要所要所を11度で攻めていくのは
これだけ色んなメロディの進化を遂げてきたJポップでもあまりないパターンですね。
それも、非常に上手にその効果を使っている。

それには、典型的なパターンを基本的には踏襲しつつも、要所でハッとさせられる
コード使いをしていることも挙げられます。具体的にはAメロ終わりのCaugのコード
(ギター・ポップで増和音を使うのは珍しいですね)や、Bメロの終わりの3つの
コード。A♭min7とマイナーになるのは特徴的(しかもそこでメロディがB♭→G♭
→F→E♭とE♭mのコードを思わせる音形をしているのも新鮮)ですが、そこから
B♭でドミナントで終止するのかと思いきや、そこからCへ行くんですね。いわゆる
六のメジャー形(つまりサビ頭の二の和音に向かう副五ですね)ですが、ここで終止
するのはかなり「おや」と思いますね。(その後サビにきれいにつながるので、その
カタルシス感も大きくなるわけですが)

サビはいわゆるツー・ファイブという良く用いられる定型コードなんですが、真ん中
辺りでD♭というコード(E♭のキーからは、♭七の位置)になるのが新鮮ですね。
(しかもそこのメロディがE♭→B♭と、これまたコードとずれているのです)

2コーラス後の展開もユニーク。最初の「Chu Chu Chu Lu Chu」のところはいかにも
Jインディー的な展開。バックのギターが相当狂っています。そこからワン・ノート
的なメロディになるところ。ここはFのメロディに対し、Gm→A♭とコードが動く。
これもコードとメロディが7度→13度と不安定なところを行ったり来たり(いやメロディ
は動かないからコードの出し入れですけどね)している。そこから2回目では途中で
メロディがFからB♭にせり上がる(こちらはGmに対しては3度と安定します。
A♭に対しては9度ですが、経過音的に聞こえるのでそんなに不安定にはなりません)
そこからは割と定型的なメロディ使いでだんだん盛り上げていくのですが、ピークの
「どれもこれも夏のせいだ」のところで、Fmin7→Bdimなんてコード進行を挟んで
きたりする。(その陰り具合がタマラナイんですよね)

こんなところでしょうか。これ以上やると、本格的な楽理解説になっちゃうからね。
コードとかメロディのことを専門的に書いていて、わけが分からないと思うかもですが、
要はこの曲の一筋縄ではいかない響きには根拠があって、それを楽しむのがこの曲の
ツボなんですよ、ということが言いたいのです。多分、心さえ開いてくれれば、聴いて
いるうちにその魅力が分かってくれると思うんですけどね。その助けにこの記事が
少しでもなれば、うれしいです。

例によって質問はいつでも受け付けています。虹コンのファンの方とは交わったことは
ないのでコワい部分もあるのですが、質問や意見には真摯に丁寧にお答えするつもり
ですので、まあお手柔らかにお願いしますね。
posted by なんくい at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽とは | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック