2017年06月01日

祝30周年!エレカシの極私的30曲(21)さよならパーティー

エレカシの極私的30曲。今回からはユニバーサル期。つまり今につながる黄金期の
到来です。でも、移籍第1弾の「俺たちの明日」でなく、そのカップリングに
収録されている「さよならパーティー」をお送りします。

この曲は「俺たちの明日」同様、非常にポップでとっつきやすい曲調なんですが、
でもエレカシらしい堂々としたロック・ナンバーでもありますね。それは「俺たちの明日」
もそうなんですけども。

それよりもこの曲で新鮮なのは、曲のテーマですね。パーティーなんてつまんないから
二人で抜け出そうって、ロックの定番的なテーマですよね。でも意外とこれまでのエレカシは
そういったロック的なクリシェをまりやってこなかった印象があります。こういうテーマの
名曲というと、忌野清志郎さんが篠原涼子さんを招いた「パーティーを抜け出そう」という
曲があります。これは「パーティーを抜け出そう/脱走」という清志郎さんらしい言葉遊びが
印象的です。

で、出来はというと、聴いて頂ければ分かる通り、紛うことなき名曲。クリシェをやっても
見事にハマるんですね。ただ実にエレカシらしい味付け(「ねぐらへ帰れば〜」ですから)
ではあるんですが。そういうエレカシ的語彙に、クリシェ的なテーマが出てくるのが、当時
非常に新鮮だったことを覚えています。

実はこれ以降のエレカシ(というか宮本さん)は、てらいもなく定番的なクリシェもどんどん
解放していくんですよ。歌謡曲的な教養も出していきますし。アルバムではユーミンのカバー
もしていますからねえ。それがまた良かったりしますし。

アルバム「Starting Over」は個人的に思い入れの深いアルバムで、たくさん紹介したいの
ですが、例によって巻くのであと1曲です。
posted by なんくい at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽とは | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

祝30周年!エレカシの極私的30曲(20)今をかきならせ

エレカシの極私的30曲。そう、この連載30曲しか選べないんですよねー。
ということで巻いていきます。外せない曲いっぱいあるしね。

前回取り上げた「ライフ」は小林武史さんプロデュースのもと、エレカシの
センチメンタリズムに焦点が合わされたアルバムでした。そこからエレカシは、
バンド回帰するんですよ。打ち込みを導入した数作を経て、4人で奏でる音に
こだわる季節へ。しかしこの時期、結構いいんですよ。そもそも宮本さんが
打ち込みに走ったのは、宮本さんの求める音像にバンドが追い付かなかったから。
ところが、バンド回帰したら、あっさり出来ちゃうんですね。そんな趣の驚きがあった。

となれば大騒ぎしてもいいのでしょうが、残念ながらそうならなかった。その原因としては
いくつか挙げられます。この頃バラエティ的に取り上げられることを敬遠するように
TV出演を控えたのも一つ。そして実はこれが大きかったのですが、この時期エレカシは
CCCDでリリースしているんですよ。それで割を食った部分も大きかったのでは。
ということで、ミニアルバム「DEAD OR ALIVE」とフルアルバム「俺の道」は隠れた名盤
ですぞ。と宣伝だけしておきます。ヘビーなエレカシが好きな方は絶対満足するはず。

そこからエレカシは、基本的にはヘビーな音を基調にしつつも、森鴎外の一生を歌にしたり
ブルース・ロック的なアプローチを試みたり、非常に聴きどころの多いアルバムを出して
いるのですが、すまんこの時期も割愛。だって「俺たちの明日」も外すんだぜ。(まあ
以前に語ったことがあるから、てこともあるけど。他に語りたい曲いっぱいあるんだよ)

で今回取り上げるのは、エレカシヘビー期の最後を飾る「町を見下ろす丘」です。アルバムの
タイトルからも文学的な香りがするように感じると思いますが、トータルなバランスが良い
アルバムなんですよね。このアルバムは結構聴き込んだなあ。

曲としては「シグナル」のような名バラードもあり、最後の2曲で登りつめる境地が、ヘビー期
全体の到達点のように思える(その意味では「DEAD OR ALIVE」以降のアルバムを全部聴いた
上でこのアルバムを聴いてほしい気持ちもありますね)など聴きどころも満載なんですが、
その中でも個人的に好きな「今をかきならせ」をここでは取り上げます。

この曲が好きなのは、何といっても疾走感。目まぐるしく曲調が変わり、どんどん高揚していく
感じがタマラナイです。3分半ちょっとの曲なんですが、非常に情報量が多い。(テンポが速い
のもあるけども)結構スパッと切り替わるんですよね。ヴァースというか展開が変わる部分で
絶叫で盛り上げる箇所があるのですが、そこがあっけなく終わってイントロからのリフに
切り替わり「今をかきならせ」のリフレインになる。この辺ゾクゾクきますね。

次回からは、今の体制につながる第二期黄金期(といっていいのかな?)に突入します。
でも「俺たちの明日」は以前書いたこともあり、あえて外して別の曲を取り上げます。
(まあそれでも「俺たちの明日」がいかに好きかがバレバレな選曲なんですが)
posted by なんくい at 00:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽とは | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月30日

祝30周年!エレカシの極私的30曲(19)あなたのやさしさをオレは何に例えよう

頑張って19曲まで来ましたよエレカシの極私的30曲。今回は小林武史さんが
関わった「ライフ」からです。

この時期のエレカシは黄昏期と言っていいでしょう。小林武史さんがエレカシの
センチメンタリズムに惚れ込んで、それを極限にまで引き出したアルバムだと
言うことが出来ます。「暑中見舞-憂鬱な午後-」というヘビーな曲もあるのですが、
アルバム全体としては「普通の日々」に代表される、透明なセンチメンタリズムが
色濃いアルバムでしょう。おセンチということで言えば、少し前に「愛と夢」と
いう名盤もありましたが、あれは混乱した中で染み出てきたおセンチで、それに
対して「ライフ」は澄み切ったセンチメンタリズムを感じます。もっとも、どちらが
良いという話でなく、その時々の必然があるんですけども。

あと「ライフ」というアルバムタイトルから想起されるのは、4枚目の「生活」
というアルバム。その当時は究極の隠遁期と言えますね。アルバム事態も非常に
ヘビーで、彼の当時の隠遁生活に至上の価値を見出すという趣のアルバム(そう
聞くととてつもなくおかしなアルバムと感じるかも知れませんが、文学の世界では
このテーマは定番ですから)で、その意味ではかなり異なるテイストのアルバム
ですね。あまり比較の材料にならないくらい。ただ、楷書的な「生活」に対し、
カジュアルな「ライフ」という対照は出来るかと思います。

その中で今回取り上げるのは、個人的にも大好きな「あなたのやさしさをオレは
何に例えよう」という、長いタイトルのナンバー。ブレイク期からのお得意路線
といってよい、ポップなナンバーです。ただ、ややテンポを落とした16ビートと
いう路線は、この後の楽曲では結構聞かれることになりますが、当時としては
新鮮だったと記憶しています。

そして、この曲の歌詞がまた独特で。「敗北と死に至る道が生活ならば/あなたの
やさしさをオレは何に例えよう」ですからねえ。宮本さん特有の、透徹された
ニヒリズム(「コール・アンド・レスポンス」辺りに通じる)が裏打ちされた
中で、どうポジティブなメッセージを発するか、というトライアルに成功している
曲だと言えましょう。あと、歌詞のオープニングも好きですね。「古い美術館に眠る
大切な宝物/夏の陽に照らされて 魔法が解けてゆくように」という。骨董が好きな
宮本さんらしいというか、そういった古き良きものを現代に蘇らせるという趣旨が
非常に的確な言葉になっていると思いますね。

そしてこの曲のチャーミングさを際立たせているのが、全編にフューチャーされている
ブラス。この後、「今はここが真ん中さ!」で、宮本さんとブラスとの相性の良さが
窺える曲も出てきますが、この曲では控えめなプロダクションでアルバムのテイストに
合わせている気がします。一度、ここのブラスを派手にやったバージョンも聴きたい
ですね。まあこれはこれでチャーミングな魅力を放っていますが。

この後のエレカシですが、再びバンド回帰しつつ、ヘビーな音像を求めていくことに
なります。
posted by なんくい at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽とは | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする